志名坂高次『凍牌』

  • たまにはこういう話をしようか。
  • 飽くまで僕の印象ですが、次の全てが当て嵌まる人はこの漫画を読んだ方が良い。(i) よく麻雀をする。(ii) よく麻雀漫画を読む。(iii) よく漫画を読む。(iv) 『咲』は読んでいない。
  • このような人には、この『凍牌』という漫画が次のように思われるであろうことを、id:manthano が請け負う。大丈夫ですか? この漫画。とても心配です。これが、『咲』とやらの弊害なのか……。
  • 要するに、これは、もう結論的に言ってしまうと、奇跡的なキメラだと思う。初期の方などでは、明らかに二人以上が人物を作画していると思われる。ぐらい、主人公側と負け役キャラの描き分けが大きい。要するに、少年漫画的な絵柄が凄惨な賭け麻雀の世界に居住している。主人公は、あれだな、ジャンプの、ほれ、樋口大輔の絵みたいな。読んでませんけど。堂嶋(ライバルキャラクター)の容姿などは、殆どあれだ、島本和彦だ。いや、スーパーロボット風味かな。で、ヒロインっつーか、主人公が庇護しようとする少女は、殆ど、あの、初期のガンガンかなと。でも、人身売買されてちんぴらの所で AV 撮られているフィリピン人の少女ですけど、大丈夫ですか? この漫画。そういう女性たちが首輪で引かれて全裸で出てきますけど。ちょっとそのタッチでそういう話を平然と畫くのはちょっと正気じゃないんじゃなかろうか。ジャンプでサッカーでもしてそうな主人公が嬉々として足の小指失って麻雀してますけど。畫く人を誤って畫かせたら如月千早で通用させられそうな女性が「ぬ……濡れる!!」とか「…イク!!」とか麻雀しながら言ってますけど大丈夫ですか。あと、主人公に淡い恋心を抱いていたらしきラブコメ路線の幼なじみが左手にアイスピック三本刺し貫かれて上半身剥かれて麻雀しながら対局相手の主人公に告白して死を覚悟してますけどそれはなんつーかサービスシーンだったんでしょうか。あれは。やっぱし。その発想大丈夫ですか?
  • 『咲』の罪っつーかな、まーやっぱパンドラの箱だったんじゃないですかね。麻雀漫画に当世流の画風を持ち込むのは。なんつーか、少年漫画みたいな画風で近代麻雀のコアな辺りの麻雀漫画をやったらこうなるよねと言いますか。上の四点に当て嵌まる人は『凍牌』を読んだらいいよ。これは絶妙のキメラだよ。こういう路線の漫画がどれだけ繁茂できるか全然分からないけど、読み取るべきことはあると思うよ。そのときには、もしかしたら自分は漫画を読み過ぎてしまったのかも知れない、と気付くかも知れないけれど。そういう体験をしたい人にお勧めです。