■
所詮チンピラはチンピラだ。まるでなっていない。だから、こうなる――。
私は、目の前に転がってうめく若者たちを見下ろしながらそう思っていた。この勇気ある若者たちは、こともあろうに私からカツアゲしようとした。全く愚かなことだ。彼我の戦力差が分からないのだ。わざわざ暗がりに連れ込んで、ものの十秒で返り討ちだ。
「無謀なことだ」
私がそう言い捨てたとき、パチ、パチ、パチ、パチ…
背後から拍手が聞こえた。
「さすがじゃないか。ジキドウ」
深夜の新宿、ネオンの逆光を背負ってもなおはっきりと分かる。二メートルの長身にスキンヘッド。そして角張った頬と場違いなタキシード姿。
「ふん、ゴルギアスか」こいつとまた顔を合わせることになるとは。「もうそんな時間か?」
「ああ。…今回は船で向かうんだろう?」
「そうだったな」
折り重なって苦しそうに震える馬鹿者どもをそのままにして、私はゴルギアスと共に新宿の街を歩きだした。
- 明日は学校だよう〜。-23,19