• 午前五時四分に寝たおれが午前九時五十三分に目覚まし時計もなく起きたこの朝に(午前十時半から授業がある)、おれはこの神掛かった朝を祈念すべく、起きる直前まで見ていた夢を記録してやろう。なお夢なので何言ってんだか分からないかも知れないし、またこれからおれは風呂に入って授業に行かないとならないので時間がないから早速本題に入りたいと思います。

 おれが最後に見た夢はこいこいさんが猫系の写真サイトを見ていて「コピピペでしょ、コピピペ。わかるよ。でも既出が増えてきたからなあ、そろそろ設定を変えないとな」と言っていた。ここでコピピペというのは「コピー・アンド・ペースト」のことだ。しかし、「コピー」と「ピペ」から始まる言葉の繋がった語だった。多分「ピペット」。だと思う。ともかく「コピー・アンド・ピペット」が「コピー・アンド・ペースト」のことだった。だがそこでこいこいさんが見ていたサイトは猫系の写真サイトだったはずなのだが、バーでサラリーマン風の男性二人が OL 一人を連れてこじゃれたバーでカクテルを飲んでいるところだった。一人目の男が生意気な声で言う。
 「だからおれが見せてやるって言ってるんだ。こいつは貧乏な奴にも分かる手品なんだ。紙幣が三枚いる。……おっとおれには三千円無かったようだな。じゃあ一人一枚ずつ出そうぜ。」
 そう言うとこの背の高そうな男が一万円札を出し、その隣にいる同僚の男が五千円札を出し、向かいにいる OL 、まあ要するにこの二人が共に狙っている女性は千円札を出した。こういうときには女性は自分がどういう位置にいるかを理解しているから千円札でいい。
 そうすると夏目漱石の顔をした猫を、一人目の男が折った。気がした。
 二人目の男は一人目の男に話題を盗まれたのを不愉快に思ったのだろう。女に聞いた。
 「何飲んでるの?」
 女が応える
 「シャンディ・ガフよ」
 「へえ……。そういうの飲むんだ。じゃあ、僕も次はそれ頼もうかな。…………、すいません! ジャンディ・ガフ!」
 一人目の男は内心で喜んだ。口元を引きつらせたがグラスを呷ってそれを隠した。シャンディ・ガフだっつうの……ぷっくくくくく……。
 やがて店員がやってきて次の注文を取ろうとする。時間も経ったので次の一杯を勧めるということなのだろう。白いワイシャツになった一人目の男が言う。
 「シャンディ……、ガフ」
 二人目の男が言う。
 「シャンディ・ガフ、以外で」
 そして注目の三人目。彼女は小さな梅の実が沢山沈んだカップを両手で覆うようにして持っていた。
 「シャンディ……、ガフ、以外で」
 このときに感じた洒落た男の落胆は、そして冴えない、シャンディ・ガフすら言えない男に対して感じた憎しみはいかほどだったか。この白ワイシャツの男は、彼女をかっさらうことに成功しつつある。許せない。