水辺のコンクレイヴ

 水辺のコンクレイヴに集まった妖精達には不安の種があった。彼らは、四半星紀に一度の祭典がまだら葉の樹人族に脅かされることを嫌がっていた。氷漬けにされた剣が引き抜かれたのは四つの冬と二つの夏前のことであった。いちょうの帽子のローゼンソールと葦の脛当てのクロンバックがその剣のことを伝えた。水辺のコンクレイヴの妖精達は途端にまだら葉の樹人族達のことを思い出した。氷漬けの剣が氷漬けにされる前、その剣は茨と月の女王の持ち物だった。彼女は夏との暮らしに飽き、冬に求婚した。冬は語った。「剣を持ちたる茨と月の女王、あなたはわたくし冬と、悪寒のどちらを好むのですか。あなたはいまだ夏のせいで病に罹っているように見受けられる。あなたの熱意が熱病でなく、心意からわたくし冬を愛するのであれば、その代わりのものを頂戴したい」。茨と月の女王が住みたる住み家は深林の深所にあった。彼女には十一の樹人族が仕えていたが、彼女はその内の一つを根絶やし、十にし、冬の使いの手足と同じ数にした。彼女はその罪深き剣を愛と悲哀と献身の証として冬に捧げた。夏は狂い猛った。しかし冬と茨と月の女王が季節を支配した。夏は賢き過去と勇猛なる未来の社を訪れ、非難した。「賢き過去と勇猛なる未来、きみたちのせいで茨と月の女王が冬の元へ行ってしまった。剣を作ったのは賢き過去だ。剣を氷漬けのままにしているのは勇猛なる未来だ。夏は勇猛なる未来の不手際を難じる。夏は、氷漬けの剣の氷を溶かすだろう」。勇猛なる未来が応えた。「勇猛なる未来は夏か冬の味方であるだろう。冬はこれからも勇猛なる未来の元に意図を告げに来ないだろう。夏は勇猛なる未来となるであろう」。賢き過去は眠ったままだった。夏は氷漬けの剣の氷を溶かし、剣を茨と月の女王に返した。夏は賢き過去を起こし、語った。「夏はいまや勇猛だ。そしてこれからは賢く、また茨と月の女王と共にありたいと思う」。賢き過去は語った。「最早氷漬けではない剣が氷漬けになる前、氷漬けになる前の剣はまだら葉の樹人族を根絶やしにした。それが冬と茨と月の女王の始まりであった」。夏はその勇猛さから、少しく愚かになろうとした。「それを忘れろ」。賢き過去は再び眠りに就き、まだら葉の樹人族は茨と月の女王の十一番目の使いとなった。季節が繰り返され、約束された冬と夏がやってきた。