久しぶりにドラマチック日記

おれとまいたけと、火星から北は、大体新宿と言っていい辺りのさくら水産にいた。一番奥の席に座って、メニューを見ていた。まいたけは日本酒を飲むことに決め、おれは巨峰サワーにした。火星から北は梅酒サワーを注文したが、売り切れてしまったと言われて両の眉を吊り上げたのちに何ものかを頼んだ。結局届いたのがおれと同じものだったのだから巨峰サワーなのだろう。まあともかくそういう果実酒が彼の好みなのだろうとおれは納得した。酸っぱいからな。そういう理由を考えていた。
まいたけが急に聞いてきた。周りの学生達がうるさかったので少し難儀したが、
「で、manthano君は最近魔理沙とどうなの」
と聞こえた。
だからすかさず、全く間をおかずに、
「当然萌え萌えさ!」
と言って、親指を突き立ててウィンクして見せた。多少はにかんで。
おれがどれだけ魔理沙と萌え萌えかと言うと、それは大体みこみこれーむと同じぐらいだ。乃至は、ぱちゅありと同程度、と見做しても良いだろうと思う。主に、それはおれが読んでいる二次創作作品の影響でもあった。だが、おれは思い出さずにはいられない。それはやはり、れいまりとか、ぱちゅありとか、そういったことなのであって、僕らはそれらを傍観して萌え萌えするのだ。
「前から一度言ってみたかったんだよね、こういうの」
まいたけはそう漏らした。どれほどれいまりなのか、どれだけのことがぱちゅありなのか。
火星から北は、
「焼き鳥塩だれ」
と言い、おれを驚かせた。
「おいおい。塩だれってのはあれか。焼肉で見るような感じのタレか。それとももっとトロッとしたやつなのか」
おれは内心で反問と反駁を繰り返し、この日たたが妙に疲れていたことを思い出した。
当然萌え萌えさ! か。おれはもう一度反芻してみる。親指を突き立てたのが悪かったのだろうか。それともウィンクか。あるいはそれがウィングだったならどうか――。
おれはマグロのぶつ切り定食を注文していた。白米に玉子と味噌汁と味海苔と、それとマグロのぶつ切りが盆に載って届いた。
「玉子かけご飯って、優しい味がするよなー」
まいたけが言った通り、優しい味がした。みこみこれいむ。みこみこれいむ。