(3) 26-31

クレミュロス
ま、そうだな、お前の目に見えんようにしておくわけにもいかんな。俺んとこの使いじゃあ、お前が最も信頼できるしな……、それに盗み癖もひどいし。
カリオーン
え? *1
クレミュロス
(無視して)でだ、俺はな、相当神様には敬意を払ってきたし、大分真っ当な人間だろ。その割りにゃ中々うまく行ったことがないし、貧乏をしている。
カリオーン
あ、はいはい。
クレミュロス
他の連中は金持ちだ。神殿荒らしとか、演説屋とか訴訟狂いとか、まあおやくざさんはな。
カリオーン
そうでしょなあ。
クレミュロス
それで神様の所に相談に行ったわけだ。俺の方は、今や人生の殆どの矢を打ち尽くしてしまったようなもんだが、

*1:このカリオーンの台詞は底本にない。けれど、クレミュロスが急に、脈絡無しにカリオーンの盗み癖について(いや原文的にも「盗み癖」ではないのだけれど)言及をしたからには、それが本当であるにせよそうでないにせよ、そこでカリオーンが「何を急にそんなことを?」といった表情を見せるのが自然だろう。