• フライパンでお好み焼きを作ってみた。のだ。これに関して感想を述べ、或いは評価をしておこう。
  • 概して始めの二枚は作り手はお好み焼きを作りたかったのだろうという意図が汲み取れる程度にだけお好み焼きであった。それは仕方のないことだ。というのも、一人暮らしを始めてから初めてお好み焼きを自分で作ったのであり、主にその焼き方について始めから十分な行程予想を有してそれを行うことは難しいのだから。そこには必ず予想外の、当座に於いて対処しなければならない事態というものが生じるであろう。寧ろそのように評価基準を定めるならば、今回の出来はまあ、及第点といったところではなかったか。
  • これが概括であるとして、次には具体的な側面から評価を行おう。それはまた、次回以降再び調理をするに当たって知識的な蓄えとなるであろうから。
    • 一枚目は、油が多かった。この点は明記して反省すべきである。そもそもの始めにフライパンに入れた量が多かった。ペーパーで拭き取ってもなお余る量であり、結果、一枚目はともすれば揚げ物かと思わんばかりの(いやそれは言い過ぎか)、出来映えであった。これを肯定的に評価するならばチヂミの作り方に私は肉薄しているのではないか、という気づきを得た、ということになろうか。恐らく正しく調べれば容易にチヂミの作り方も体得できるであろう。だが、既に述べたように、出来上がったものはチヂミではなくお好み焼きであろうと知れる程度にはお好み焼きに似ていたのであるから、結局そのように思われたところで実際的な寄与と言うには程遠い。
    • 二枚目のものは、逆に油が少なかった。一枚目を焼きながら油が多いということには気付いていたから、次には少なくすべきであると考えていた。しかし、私はそれすら念頭になかったのであろう、全く油を引かずに焼き始めてしまった。使えるのは豚肉から出てくる油のみであり、それを意識的に全面へ広げようと努力したが、無駄であった。結局、油を染み込ませておいたペーパーを使って油を塗り、どうにか事なきを得たが、使っているフライパンがテフロン加工でなかったら、またしても深く反省するべき点が増えたことであろう。ともあれ、油を布くことを忘れてはならない。
    • 二枚目を焼きながら一枚目を、三枚目を焼きながら二枚目を食べていた。始めから四枚を焼くつもりであり、そのうちの二枚だけを食べるつもりでいたので、始めから三枚目以降はその場で食べるつもりではなかった。さて、二枚を焼き、ボウルの種も減ってきたので、一枚目を焼く前に入れることなど出来ないと思っていた小エビを、追加してみることにした。ここで気付くべきなのは、始めからもう少し大きなボウルで作り始めるべきであった、ということである。だが、これ以上ボウルを買っては勿体ないとも思うので、この点に関しては留保とする。
    • 三枚目と四枚目は概して良くできた。これに関しては、当面否定的な評価を下す必要はないだろう。始めの二枚で、作り方を大方学んだ、ということではないか。
    • ただ、今回の四枚は、種が薄かった。このことは疑い得ない。そもそもの粉の量を適切に量る方法がない、ということもあるが、予定していたキャベツの投入量と、キャベツから出る水分を、全く考慮していなかった。そして加えて、ボウルが小さかった。この点は改善するのが難しいのではないか。ボウルが小さいことが致命的である。粉を足そうにも足せず、――いや、キャベツを減らせば良いのか。検討しておこう。
  • 今回の調理を踏まえ、これからはより多く粉ものを調理することが出来るようになったかも知れない。具体的にはホットケーキである。ホットケーキ自体は以前にも調理したことがあるが、面倒さが先に立つものであった。だが、これからはその面倒さを感じることが少なくなるのではないだろうか。お好み焼きよりは容易であろうから、心的な面倒さの標準がお好み焼きに設定されれば、ホットケーキは造作もなく作れるのではないか。この点も、次回以降への布石として明記しておこう。
  • やはり、と言うべきか、小エビが入っている方が美味である。単なる風味付けと考えて過小評価していたが、これは侮ってはならない。お好み焼き店があれほど多くの薬味(と言ってよいものか)を供えているのには訳があるのだ。小エビ、鰹節、青海苔、紅ショウガ、天かす、それから場合によっては胡麻も数えられようか。個人としてどれだけの薬味を揃えられるだろうか。否、どれだけの薬味を揃えられるかが個人が作るお好み焼きの味を決めるのではないだろうか。この点は留意に値する。
  • これからは、東京のお好み焼き店で見たバリエーションを考慮すべきだろう。即ち、今回調理したのは豚肉のお好み焼きであったが、その他に、牛肉、烏賊リング、チーズ、カレー粉、納豆、ベビースターラーメン、焼き蕎麦等のバリエーションを試みることも興味深い。ただしこれに関しても、上と同様、個人(私)が拠出することの出来る金額を織り込んで考える必要がある。
  • さて、以上が大まかな反省と評価、そして発展のための着想である。これらに留意しつつ、精進を重ねよう。