• 麻雀については度々考えている。
  • 桜井章一という人物は、二十年間、重要な局面では負けなかったということを言われている。僕が興味を持っているのは、桜井章一という人物が本当にそういう人物であったかどうかではなく、要するに、それがどれくらい凄いことなのか、ということだ。
  • 要するに、生涯一度も負けずに過ごす人物というのは、可能だ。ただそれはとても珍しいと思う。伝説的な人物がいて、その人は生涯麻雀を打ち続けたが、一度も負けなかった、という人がいてもいい。というか、親決めの骰子が振られる度に親になり、その度に天和で和了り続ける人がいてもいい。それは可能だ。ただ、それはとても珍しいと思う。
  • 多くの人は、そういう例について、「有り得ない」と言いがちだと思う。そういう人は、「有り得る」とか「有り得ない」という言葉遣いをよく分かっていない。或いは、思わず、間違えて遣っちゃうんだ。「毎回天和で和了り続ける人? それって有り得るのか?」勿論有り得る。「常識的には有り得ないよね?」常識的にはそういうのも有り得ないって言うけど、それはルーズな遣い方だ。確率としてそういうことが有り得るかって言っているんだから、有り得る。ただ、それはとても珍しい。或る人が生涯天和で和了り続けるからって、「有り得ないことが起こってる! すげえ!」という風に驚くのはおかしい。「ちょう珍しいことが起こってる! すげえ!」と驚くべきだ。同様に、「有り得ないことが起こっているんだからいかさまが行われているはずだ」というのは誤った考え方だ。それは有り得ないことではない。有り得ることだ。