これは既に一度口頭で語ったことなのだが、なるほどな、と思わされる考えに出会わされた。即ち、秋葉原に繁茂している、いや、繁茂していたメイド喫茶店は、給仕たるの伝統も知らぬ者がめかし込んで粗悪なアルコールを売るという実に SF 的な空間であり、アミノ酸に溢れた海の、原始の波間に単細胞生物が偶然組み合わされた時のように、秋葉原という文化の押し固められた硯に我々の予期する近未来が、やって来ていた。僕はそれに気付かなかった。イリ君が教えてくれた。流石極まりない。矢張り僕にはない感性がそこにはあったのであり、様々な観点を有した人と会話を交わすというのは素晴らしいものであるなと、思ったのだった。イリ君にそう言われてから一・二年が経ったのちに、そのような言説を Tumblr で見掛けた。なるほど。そうだ。メイド喫茶は SF なんだ。