最近は研究室にいることが多い。研究室にいることが多いのだから仕方がない。それは観測事実なので認めて下さい。

 それにしても一体何故なのか。理由の一つは、家事からの逃避である。住んでいる部屋は、矢張り散らかったままであり、基本的に机の上を広く使える研究室は矢張り気持ちがよいのである。気持ちがよいのだから仕方がない。コンビニ状況にも恵まれ、ファストフード事情にも恵まれ、冷暖房完備のこの研究室は、たしかに良い環境であろう。こう言ってはなんだが、在って有り難いのは冷暖房完備で大きな机が使える部屋である。

 とは言えそろそろおうちに帰るべきである。と言いますか、おうちのお部屋のお片付けをしないとならないのである。特に水回り系とか、その辺である。いや、確か机の周りも非道いことになっていたっけな。本当に、ああ、文献系のお片付けをしないと、そろそろ破綻するのである。

 と言いますか、何と言いますか、そろそろ実家系の方角へ帰る時期でもありますから、文献系をちゃんと片付けて、きちんとしておかないと、新年きょうぽんに戻ってきてがっかりするであろう。

 それはそれとしてこのパソコンの電源アダプターをもう一つ買おう。買ってしまおう。そういう設備投資は大事だ。研究室に置いておくのだ。そうすれば、アダプターを持ち歩く必要が無くなる。だがそれは本当に勿体なくないのだろうか。さあ、だから私は言っていたのだ。そういう設備投資は大事だと。

 そろそろ片付けすることは楽しいことだと、自覚するべきなのだ。私とて、片付くのは、心地よいことなのである。ああ、そうだ。おれはそれを認めるべきなのである。片付けることは精神的に脆弱な人間のすることであると思っていた。整頓された部屋に美を見出すのは吝嗇の表れであると、そう思っていた。だから、「おれにはどこに何があるか分かっているから」などと肩肘を張っていたのだ。そろそろその威勢にむなしさを覚えてきた。これは観測事実なので認めて下さい。認めざるを得まい。ああ。そうだ。自分にだけはいつも素直に。生きたいように生きられない世の中であるのだからせめて心だけは私のありたいように。